2014秋冬コレクションBlack Label インスピレーション

2016年6月22日
1960年代後半、ビートルズがひとつの伝説になってからさらに時間がたった頃には、4人に残された戦いは自分自身を見つけること、もっと正確にいえば別々の4人に戻ることでした。
バンドの亀裂がささやかれ、この時期にさまざまな形のソロ活動が増えたのは、4人それぞれがビートルマニアという偉大な過去を乗り越えてより新しい世界を切り開こうとしたからでした。音楽面でもまたスタイルを見ても彼らの影響はさまざまに分かれていきますが、これは時代の精神を反映したばかりではなく、4人それぞれがたどった旅路、それぞれのスピリチュアルな信念を映し出していたのです。

ビートルズの各人のスタイルを支えた要素は、私たちのAW14 Black Labelコレクションにも反映されています。とりわけジョン・レノンのシンボルともなったギター・ストラップのデザインは毛裏のボンバージャケットの襟下やデザートブーツを特徴づけ、シャツやジャージの大胆なパターンとしても効果的に使われています。

レノンの音楽上の折衷主義と同様、彼のスタイルも60年代後半には彼のその日の気分につれて毎日のように変わります。それでもそこには並ぶもののないレノンスタイルが貫かれていました。たとえば彼の特徴とされる白スーツや伝統的なデニムのジャケットです。ティーシェード型と呼ばれる縁の細い丸メガネもほとんど彼の象徴となっています。またレノンが伝統を守る人だったことを示す目立たない小さなヒントもいくつかあります。中でも、ギターとストラップの使い方に特徴がありました。エピフォン・カジノとリッケンバッカーのギターを愛用していましたし、フォックスパイトンや 「ルーフトップ型」 のストラップはレノンの特徴です。その後もビートルズにはいくつもの衝撃的な事件が起こりましたが、レノンはこうしたこだわりを変えることはありませんでした。

「ジョンレノンの特徴となったギター・ストラップは2014年秋冬Black Labelコレクションの鍵となるインスピレーションを与えました。」

音楽的な成功を彼らはずっと求め続けたのでしょうが、現実には、ビートルズは初期の頃から多くのサブカルチャーに大きな波をもたらしました。特にファッションです。しかしながら、この時期の彼らの作品に多くみられるように、60年代後半の彼らの装いには、4人が一つのバンドとしてまとまっていることを何とか示そうと苦労した跡が見られます。すでに彼らは 「才能ある4人組」 から脱皮してそれぞれがより個人的なスタイルを大切にするようになっていたのです。

おそらく、ビートルズの中でも成長とともに変わった好例はジョージ・ハリスンでしょう。長らく彼はレノンとマッカートニーの後ろにいるという役割で満足していましたが、サイケデリックの精神的な時代は彼の内面にも深く影響を与えました。実際、60年代後半には彼のおかげでビートルズは再び輝きを取り戻しました。芸術的な自信にあふれた華麗なソングライターとして認められたのです。東洋的な哲学と音楽を胸に抱き、彼は4人の中でその時代の理想主義を一番よく体現しているように見え、服装もそれに合っていました。ペイズリーと花柄のプリントは大きな注目を集め、明るいラッフルスーツもお気に入りでした。

「60年代後半には彼のおかげでビートルズは再び輝きを取り戻しました。芸術的な自信にあふれた華麗なソングライターとして認められたのです。」

リンゴも、世界一偉大なバンドの後ろで愛想よくドラムを叩いていたのですが、「彼はビートルズの中でさえ最高のドラマーじゃないよね。」 とレノンが冗談交じりに語った頃が彼の大きな転機でした。60年代の終わりにはひょうきんなドラマーからもっと鋭敏で率直な性格へと変わっていったのです。

White Albumの録音時の脱退騒動は有名ですが、この時期のリンゴのファッションにアーミーの影響がみられるのは、バンド内を覆っていた独裁に対して戦う彼の無意識のメッセージかもしれません。アーミー風のポケットの付いたピーコートとシャツを着たリンゴは社会主義者のはしくれのようで、あたかも迫りくる困難と崩壊を予見する野戦指揮官のように見えますが、結局はそれが彼の正しさを証明することになりました。

ポールマッカートニーについて言うと、伝統に対する感覚はその時代の特徴でした。60年代後半の伝統的な英国風に仕立てられたスタイルは、ビートルズの初期の装いを受け継いでいるように見えます。グレーと黒のエドワード風の襟なしスーツがイギリスのポップミュージックに新たな変革をもたらした頃のスタイルです。さまざまな場面でポールはこの時期にも英国風のテイストというアイデアを称賛しました。初期の頃に流行となった伝統的な型と高価な布地を用いたスタイルを肯定していたのです。おそらく、60年代後半になってポールは反体制的な文化やヒッピーの理想主義を十分に理解し、行く先にただならぬ波風が待ち受けている中を研ぎ澄まされたエレガンスの感覚をもって先頭に立ち、ビートルズがずっとそうしてきたように、胸躍る新世界に向かってしっかりと前進したのでした。

「さまざまな場面でポールはこの時期にも英国風のテイストというアイデアを称賛しました。初期の頃に流行となった伝統的な型と高価な布地を用いたスタイルを肯定していたのです。」